「シャドーバンキングシステム」に対する規制の議論
『大和総研調査季報』 2011年秋季号(vol.4)掲載
2012年02月01日
サマリー
金融安定理事会(FSB)は、2011年4月12日、シャドーバンキングシステムに関する現時点での見解を示すバックグラウンドペーパーを公表している。FSBは、シャドーバンキングシステムを「ノンバンクによる信用仲介システムのうち、システミック・リスクおよび/または規制格差(regulatory arbitrage)の懸念をもたらすもの」と定義し、これに対する規制アプローチの大枠として4つのカテゴリー((1)銀行のシャドーバンキングシステムとの相互関連性の規制、(2)シャドーバンクそのものの規制、(3)シャドーバンキングの規制、(4)マクロ健全性手法)を提示している。
バックグラウンドペーパーを見る限り、FSBは、シャドーバンキングシステムに関連する現行の規制イニシアティブ(立法・規制提案等)を尊重した、「穏健な」スタンスを採っているといえる。
このようなFSBの「穏健な」スタンスは、金融危機を招いたシステミック・リスクの要因となったシャドーバンキングシステムへの規制アプローチとしては不十分である。銀行類似の信用仲介機能を供給する以上、シャドーバンキングシステムを通常のバンキングシステムと区別すべきではない。
大和総研 リサーチ本部が、その長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、経済、金融資本市場及びそれらを取り巻く制度を含め、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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