サマリー
◆5月に公表された4月の景気及びインフレ指標は総じて軟調な結果となり、景気の堅調さとインフレ率の高止まりという1-3月期のトレンドが変化した可能性を示唆するものであった。こうした主要経済指標の軟調さを背景に、市場はソフトランディング期待を高め、金融環境は再び緩和化した。
◆しかし、インフレ減速を期待しすぎてはならない。インフレ指標が2%に向けて減速していくためには、今後更なるペースダウンが必要となる。しかし、先行きのインフレ減速要因として期待されるコアサービス価格は高止まりしており、住宅価格の反発や根強い賃金上昇圧力によって一段の減速は楽観視できない。
◆加えて、直近の景気の軟調さも過信すべきではない。減速した4月の雇用者数は今後大幅に改定され得る。同月の小売売上高は市場予想割れとなったが、市場予想がアマゾン等の大規模セールによる無店舗販売の反動減を織り込めていなかっただけとも考えられる。そして、50%割れとなったISM非製造業景況感指数についても、中身を見れば顕著な景気減速に直面しているようには見受けられない。
◆市場ではソフトランディング期待が高まる中で、仮にインフレ指標が再び上昇し、主要経済指標も堅調な結果となれば、金融環境は一転してタイト化していくとみられる。或いは、経済指標が想定よりも軟化しない場合に市場の利下げ期待が剥落しなければ、金融環境の緩和化がインフレ圧力を押し上げ得るとして、FOMC参加者のタカ派的な発言が増えることも想定される。現時点では、景気減速やインフレ減速を期待しすぎてはならないと肝に銘じておくべきだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米雇用者数は大幅減速、過去分も下方修正
2026年9月米雇用統計:ただし、均してみれば雇用環境は底堅い
2026年10月05日
-
米長期金利を押し上げる利上げ織り込み加速は妥当か
むしろ警戒すべきは金融環境のタイト化による景気のオーバーキル
2026年10月01日
-
米国経済見通し 利上げの理由を問う
ファイティングポーズ?中立金利の上昇?不安定な期待インフレ?
2026年09月18日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

