サマリー
◆2025年7月29日・30日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジが4.25-4.50%と、5会合連続での据え置きとなった。今回の政策決定にあたり、ボウマンFRB副議長とウォラーFRB理事が、0.25%の引き下げを主張して反対票を投じた。2票の反対票が投じられたのは1993年12月以来と約32年ぶりとなる。ただし、ボウマン副議長とウォラー理事は従来利下げすべきとのスタンスを表明していたことから、サプライズとはならなかった。
◆注目のパウエルFRB議長のFOMC後の記者会見では、関税がインフレに与える影響は一時的に留まることが妥当なベースシナリオとしつつも、インフレ全体に与える影響は依然として不透明とした。パウエル議長は雇用に関して、堅調であるものの下振れリスクがあると指摘し、注意深く見守っているとコメントした。パウエル議長はインフレと雇用の見解のバランスを取りつつ、あくまでデータ次第で、9月16日・17日の次回FOMCを含めた先行きの利下げ判断を行っていく姿勢を示した。
◆9月FOMCでの利下げに関して、パウエル議長は明言を避けたものの、含みを持たせた。パウエル議長は、9月FOMCでの利下げに対して抵抗感はないことを示唆した上で、8-9月に公表される雇用・インフレ統計を注視すると発言しており、利下げ再開を判断する上で重要な時期に差し掛かりつつあることが示唆される。
◆雇用・インフレ統計が重要視される中で、CPIはサンプルデータの収集率が低下し、たとえ消費者が現実に直面する物価が上昇していたとしても、CPIに反映されにくくなっている恐れがある。雇用統計で示される雇用環境に関しては、レイオフの早期通知が増加しており、先行きの失業率の上昇を示唆するなど、弱含みやすいと考えられる。
◆雇用統計が軟化すれば、市場やFOMC参加者の中でも利下げに対する要請は強まるだろう。8月21-23日にカンザスシティ連銀が主催するワイオミング州ジャクソンホールで開催予定の金融政策に関するシンポジウム(以下、ジャクソンホール会議)が当面の注目イベントとなる。ジャクソンホール会議では、パウエル議長など、FRB中央執行部の登壇が通例であり、9月FOMCでの利下げに向けた距離感の変化を測る中間報告会となるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ウォーシュ公聴会から読み解く利下げの行方
当面は様子見、生産性上昇とバランスシート縮小で利下げ余地を拡大
2026年04月24日
-
米銀資本規制の見直し案、大幅な規制緩和へ
住宅ローン・中小企業向け融資の促進、FRTBは「資本フロア」なし
2026年04月24日
-
米国経済見通し 消費維持に必要な雇用者数は?
現状の雇用者数の伸びでは消費に緩やかな下押し圧力が生じやすい
2026年04月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

