サマリー
◆2023年12月12日・13日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジが、従来の5.25-5.50%で据え置かれた。9月のFOMC以来、3会合連続で金利据え置きとなった。今回の決定は市場参加者にとってサプライズとはならなかった。
◆今回のFOMCで公表されたFOMC参加者の経済見通し(SEP)については、目先の実質GDP成長率と物価見通しが下方修正された一方で、失業率の見通しは据え置かれた。インフレ率が低下していく一方で、失業率が自然失業率程度までの小幅な上昇にとどまるという、ソフトランディグシナリオと整合的な見通しになったといえる。
◆2024年の金融政策運営の注目点である①追加利上げの可能性、②利下げまでの時間軸、③合計の利下げ幅、についてまとめると、①に関しては、パウエルFRB議長が記者会見で、FOMC参加者は更なる利上げが適切とは考えていないと述べており、追加利上げの可能性は低下した。②に関しては、パウエル議長は利下げに関して、明確な条件や時期は指摘していないものの、多くのFOMC参加者が予備的な議論として言及し始めたと述べている。予備的な議論が始まりつつあることを踏まえれば、利下げへの転換時期は2024年央といったやや近い将来と捉えられるかもしれない。
◆③に関しては、FOMC参加者のFF金利見通し(ドットチャート)において、2024年は0.75%ptの利下げが見込まれている。市場は2024年に合計1.00ptの利下げを想定しているが、2024年のドットチャートの形状はややタカ派的であり、利下げ幅に関しては過度にハト派的な想定をすべきではないだろう。
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