FOMC 2会合連続で金利据え置きを決定

追加利上げは慎重に判断すると繰り返し、ハト派的な印象を醸成

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2023年11月02日

  • 経済調査部 主任研究員 矢作 大祐
  • ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 藤原 翼

サマリー

◆2023年10月31日・11月1日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジが、従来の5.25-5.50%で据え置かれた。ウォラーFRB理事やパウエルFRB議長が、10月半ばの講演会で今後の金融政策運営に関して慎重に判断していくと繰り返し、今回のFOMCでの金利据え置きを示唆していたことから、市場参加者にとって想定通りの結果であった。

◆今回の金利据え置きの決定が既定路線だったこともあり、注目点は先行きの追加利上げの可能性であった。今回の声明文やパウエル議長による記者会見を踏まえれば、インフレがまだ2%の目標を達成できていない現時点で、追加利上げの可能性自体は否定されていない。しかし、追加利上げから距離を置くような文言が声明文や記者会見で散りばめられており、次回会合でも金利据え置きをベースシナリオとして想定しているようなハト派的な雰囲気が醸成されたといえる。

◆しかし、追加利上げを実施するか否かは最終的にデータ次第であると、パウエル議長は述べている。では、足下のハト派的なスタンスを取るパウエル議長を追加利上げ実施へと転換させるトリガーは何か。一つは景気全体の強さである。実質GDP成長率の伸び幅が、インフレ圧力を高めないとされる潜在成長率以下のペースに落ち着くかが追加利上げの可能性を左右するだろう。もう一つは、長期金利が持続的に高水準で推移するかである。タームプレミアムの上昇余地が徐々に限られていく中で、長期金利が持続的に高水準で推移しなければ、追加利上げの必要性が高まる点に注意が必要だろう。

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