コロナ・ショックがもたらす米国経済の構造変化

『大和総研調査季報』 2020年夏季号(Vol.39)掲載

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サマリー

新型コロナウイルス感染拡大によって米国経済は未曽有の速さで悪化することとなったが、これに対しFRB、米国政府、議会は矢継ぎ早に金融・財政政策による対策を講じた。第1フェーズでは金融・資本市場の動揺への対応、第2フェーズでは企業・家計への痛み止めが対策の主眼であり、これらの政策は、総じてうまく機能したと評価できる。一方、焦点は第3フェーズ、経済再開下での対策へ移行しつつあるが、危機が最悪期を脱する中、共和・民主両党間での意見対立は強まっており、対策が後手に回るリスクが高まっている。

コロナ・ショックによる急激な景気悪化から米国経済は立ち直りつつあるものの、景気回復が進展したとしても新型コロナウイルスが蔓延する前に戻ることを意味しない。大量の失業者が発生したことによる人的資本の毀損や、レジリエンスを重視したサプライチェーンの再構築などは、米国の中期的な成長力を低下させる可能性があろう。また、足元で景気の下支えをした財政・金融政策の結果、政府および民間の債務が急激に拡大したことも、将来的なリスクとなる。

大和総研調査季報 2024年新春号Vol.53

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