米国の公的医療保険、メディケア(その2)

メディケアの変遷と破綻回避に向けた改革が続く

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2014年12月02日

  • ニューヨークリサーチセンター 上野 まな美

サマリー

◆2013年におけるメディケア(Medicare)への支出額は約5,830億ドルに達し、米国のGDPの約3.5%に相当した。メディケア信託理事会(Board of Trustees for Medicare)の2014年報告書によると、メディケアの支出額は2035年までにはGDPの約5.4%にも上る恐れがある。


◆メディケアは、1965年の設立以来、大幅に変更が行われてきた。1980年代及び1990年代には、メディケアへの急激な支出増加を回避し、パートAの病院保険信託基金の破綻時期を引き延ばすために、数々の法律が制定された。近年においては、2010年に医療保険制度改革法となる通称オバマケアが成立し、今後のメディケア支出の増加抑制条項が制定された。


◆メディケアは、将来的に加入者と1人当たりの医療費が増加し、パートAの病院保険信託基金が2030年に破綻することが予測されている。将来的なメディケア支出の増加を抑制するためには迅速な対応が要求され、収入を増やすか、支出を抑えるか、またはその組み合わせを取り入れることによって、今後もメディケア改革を継続し、メディケアの破綻を回避することが必須である。

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