サマリー
◆政府閉鎖の影響により公表が遅れていた2025年10・11月分の米雇用統計が、2025年12月16日に公表された。非農業部門雇用者数について、10月分は前月差▲10.5万人と政府部門の減少により大幅なマイナスに転じた一方、11月分は同+6.4万人とプラスに転じ、市場予想(Bloomberg調査:同+5.0万人)を上回った。政府部門を除いた民間部門雇用者数に着目すると、夏場を底に持ち直しつつある。ただし、業種別に見るとけん引役は教育・医療であり、相対的に景気動向に敏感な民間部門(除く教育・医療)の伸びは緩やかなものに留まり、雇用環境に力強さは見られない。
◆続いて家計調査による2025年11月の失業率は、9月からの変化幅は+0.2%ptの4.6%と、市場予想(Bloomberg調査:4.5%)を上回った(悪化)。失業率の上昇は雇用環境の悪化が継続している可能性を示唆している。ただし、BLSが指摘するように、11月分の家計調査は、政府閉鎖の影響を受けて推計値のばらつきが大きくなっているとみられ、雇用環境の悪化ペースについては慎重な評価が求められる。
◆その他の関連指標を確認すると、新規失業保険申請件数は前年同時期と同程度で推移している。また、求人件数は底堅く推移しており、労働需給は急激には悪化していない。これらの指標は雇用環境の緩やかな悪化が継続していることを示唆している。
◆雇用環境の先行きについては、持ち直していく可能性がある。例えば、雇用者数の伸びに先行する傾向にある、NFIBの雇用計画数は回復傾向を示している。また、2026年第1四半期は2025年7月に成立したトランプ減税2.0により、例年より大規模な税還付が見込まれ、景気の押し上げ要因として期待される。さらに、2025年9月よりFRBが合計で0.75%ptの利下げを実施したことも、景気の下支え要因となろう。他方で、足下ではAIの活用等を理由としてコストカットを行う動きも見られている。これまでは景気悪化リスクの高まりに伴う雇用抑制という側面が強かったが、先行きはAIの活用拡大等によるコストカットが雇用の回復を抑制する可能性に注意が必要だろう。
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