サマリー
◆2022年7-9月期の日本経済は、新型コロナウイルス感染「第7波」や世界景気の悪化などにより、個人消費や輸出を中心に停滞感が強かった。一方、設備投資や公需は拡大したとみられ、7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.7%となったとみている。10-12月期は感染状況の改善や全国旅行支援の実施、水際対策の大幅緩和、自動車の供給制約の緩和などもあり、同+2.8%と5四半期連続のプラス成長を見込む。
◆2021年夏の感染第5波、2022年初めの第6波、直近の第7波における新規感染者数と人出の関係を分析したところ、第7波が人出に与えた影響は限定的だったが、感染への警戒が緩んだわけではなかったとみられる。また、第7波ではお盆前後のサービス消費は堅調だった一方、それ以外の時期は停滞した。サービスだけでなく財の消費も振るわなかった。世界景気の悪化と物価高が同時に進行する中、家計は購買力があっても先行き不透明感の強まりから支出拡大に慎重になっているとみられる。
◆当社の「日本経済見通し:2022年9月」では全国旅行支援の経済効果を示したが、その後に明らかになった実施スケジュールを基に再試算すると、12月下旬まで実施される場合の経済効果は0.8兆円程度とみられる。2023年3月末まで延長されれば1.8兆円程度と、Go To トラベル(1.2兆円程度)を上回る。英国や米国の事例を参考にすると、インバウンドの人数は2023年春頃にかけて急回復するだろう。ただし、中国からの訪日観光客は「ゼロコロナ」政策の影響で緩やかな回復にとどまるとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日