日本経済見通し:消費増税後の日本経済の行方

①増税、②賃上げ、③設備投資、④米国の出口戦略などを検証

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2014年05月23日

  • 調査本部 副理事長 兼 専務取締役 調査本部長 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸
  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦
  • 齋藤 勉
  • 経済調査部 シニアエコノミスト 久後 翔太郎
  • 田中 豪

サマリー

経済見通しを改訂:2014年1-3月期GDP一次速報を受け、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2014年度が前年度比+1.0%(前回:同+1.0%)、2015年度が同+1.5%(同:同+1.5%)である。今後の日本経済は、2014年4-6月期には消費税増税の影響で一時的に低迷するものの、7-9月期以降回復軌道を辿る見通しである。


4つの論点:今回のレポートでは、以下の4つの論点を検証した(→詳細は、熊谷亮丸他「第181回 日本経済予測」(2014年5月22日)参照)。

論点①:消費税増税の影響:今回の消費税増税の影響は限定的とみられる。消費税増税は、2014年度の実質GDP成長率を▲0.88%pt押し下げ、2015年度のGDP成長率を+0.26%pt押し上げる見込みである。

論点②:賃上げ・物価動向の展望:現状わが国では、景気回復によってマクロ的な労働需要が高まるなか、大企業を中心にベースアップの動きが広がっている。主に一般労働者を対象とした賃上げであるが、こうした動きは物価の押し上げに寄与するとみられる。また、パートタイム労働者の賃金についても一般労働者の賃金上昇、物価上昇に遅れてさらに上昇する可能性が高い。

論点③:設備投資の動向:足下の様々なデータを検証すると、設備投資には底入れの兆しが見られる。ただし、設備投資が力強い増加に転ずるには、「第三の矢(成長戦略)」の強化などを通じた期待成長率の上昇がカギとなる。

論点④:米国の出口戦略が世界経済に与える影響:米国の出口戦略が世界経済に与える影響に関する定量的なシミュレーションを行うと、FRBが実体経済の回復に見合ったペースで慎重な出口戦略を講じる場合、世界経済は着実な回復軌道を辿るとみられる。

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