サマリー
◆経済見通しを改訂:2014年1-3月期GDP一次速報を受け、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2014年度が前年度比+1.0%(前回:同+1.0%)、2015年度が同+1.5%(同:同+1.5%)である。今後の日本経済は、2014年4-6月期には消費税増税の影響で一時的に低迷するものの、7-9月期以降回復軌道を辿る見通しである。
◆4つの論点:今回のレポートでは、以下の4つの論点を検証した(→詳細は、熊谷亮丸他「第181回 日本経済予測」(2014年5月22日)参照)。
論点①:消費税増税の影響:今回の消費税増税の影響は限定的とみられる。消費税増税は、2014年度の実質GDP成長率を▲0.88%pt押し下げ、2015年度のGDP成長率を+0.26%pt押し上げる見込みである。
論点②:賃上げ・物価動向の展望:現状わが国では、景気回復によってマクロ的な労働需要が高まるなか、大企業を中心にベースアップの動きが広がっている。主に一般労働者を対象とした賃上げであるが、こうした動きは物価の押し上げに寄与するとみられる。また、パートタイム労働者の賃金についても一般労働者の賃金上昇、物価上昇に遅れてさらに上昇する可能性が高い。
論点③:設備投資の動向:足下の様々なデータを検証すると、設備投資には底入れの兆しが見られる。ただし、設備投資が力強い増加に転ずるには、「第三の矢(成長戦略)」の強化などを通じた期待成長率の上昇がカギとなる。
論点④:米国の出口戦略が世界経済に与える影響:米国の出口戦略が世界経済に与える影響に関する定量的なシミュレーションを行うと、FRBが実体経済の回復に見合ったペースで慎重な出口戦略を講じる場合、世界経済は着実な回復軌道を辿るとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日