なぜ企業は同じ情報を何度も提出しなければならないのか

公的統計のデジタル化を問う①-負担軽減の「効果」

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サマリー

◆公的統計は、経済社会の実態を把握する上で重要な公共財である。しかし近年、回答負担の重さなどを背景に、統計調査全体の回収率の低下が世界的な問題となっており、日本も例外ではない。世帯系調査だけでなく企業系調査でも回収率が低下し、標本の偏りや推計精度の悪化を通じて、統計の信頼性と制度の持続可能性を脅かしている。

◆企業、とりわけ一定規模以上の企業は、複数の基幹統計調査・一般統計調査の対象となり得る。売上高・従業者数・設備投資などの類似項目でも、定義、対象範囲、対象期間、締め切りが異なり、調査ごとに確認・加工する必要がある。負担は専任の統計担当を置きにくい中小企業ほど固定費的に重く、統計だけでなく企業の「レポーティング全体」を見据えれば、削減余地は大きい。

◆負担軽減の第一歩は測定である。日本でも「官民の統計コスト削減」に取り組んだが、その後、同じ枠組みによる政府横断的な継続計測は確認できない。海外では、標準コストモデルや法制度に基づき、行政手続・政府の情報収集に伴う負担の計測が行われている。日本の次期第V期公的統計基本計画では計測を制度に組み込み、「測って減らす」PDCAを回すべきである。

◆デジタル化による負担軽減の効果は、①調査の電子化(オンライン回答)、②調査自体の削減(行政記録・企業データの連携)、③調査の代替(民間・オルタナティブデータの活用)の3段階で整理できる。生成AIは各段階を横断的に後押しする。さらに、企業を、統計を「出す側」から「使う側」へと位置づけ直し、速報化・詳細化や統計データの安全な利活用などの便益を返す設計が鍵となる。

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