2025年05月30日
サマリー
◆「AI時代の日本の人的資本形成」と題する本レポートシリーズでは、3回に分けて、AI時代の到来と日本型雇用の変容という新たな局面において、いかにして人的資本を形成し、変化の波を乗りこなしていくべきかという論点に対し、具体的な戦略的視座およびアクションプランを提示する。
◆最後となる第3回目の本レポートでは、生成AI時代における日本の人的資本戦略の方向性を示すため、「政府」に焦点を当てて現状の政策と構造的課題を分析し、具体的なアクションプランを提言する。
◆現状、日本では政府が「人への投資」を強化している。しかし、歴史的に企業主導のOJT(On-the-Job Training、職場内訓練)が主流であったこともあり、訓練への公的支出の割合は低い。この点は、個人の主体性や訓練の質・市場適合性を重視する諸外国の政策設計と異なる。
◆さらに構造的課題も存在する。具体的には、AI戦略策定プロセスでの労働者視点の欠如、企業経由の支援への偏重、個人主導の学びを妨げる要因(市場の失敗や制度の複雑さ)が挙げられる。また、非正規・若年層へのアクセス格差、訓練の質保証と効果測定(EBPM:証拠に基づく政策立案)の大きな改善余地も指摘できる。
◆これらの課題に対し、①AI戦略への労働者視点の統合、②個人学習勘定導入の検討や所得保障強化による、個人の主体的な学びの徹底支援、③包摂的なアクセス確保、④訓練成果の可視化と市場適合性向上によるEBPMの確立、⑤AIを活用した労働政策の一層の強化、が急務である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
AI時代の日本の人的資本形成(企業編)
人事制度改革・学習文化・可視化による人的資本形成の実践
2025年05月27日
-
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
生成AIが日本経済に与える影響の計量分析
経済成長を促進するも格差拡大の懸念。リスキリング等の対応が鍵に
2024年11月08日
同じカテゴリの最新レポート
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
2026年4-6月期GDP(1次速報)予測(改訂版)~前期比年率+2.5%に下方修正
直近公表の基礎統計を踏まえ、個人消費と外需をそれぞれ下方修正
2026年08月10日
-
2026年6月消費統計
半耐久財とサービスが弱く、総じて見れば前月から大幅に減少
2026年08月07日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日


