サマリー
本論文は、生成AIが日本の労働市場に与える影響に関し、独自にAIと職業情報データベースを活用したビッグデータ分析を実施したものである。その上で、各職業を生成AIとの関係ごとに協働、代替、その他の3グループに分類した。
分析の結果、協働グループと代替グループの就業者割合は共に約20%であった。産業別では、金融業や不動産業などでは、協働・代替グループ双方の就業割合が高かった。情報通信業などは、協働グループの割合がより高かった。年収別に見ると、協働グループの年収は平均より高い傾向がある一方、代替グループのそれは平均をやや下回る傾向が観察された。
今後、生成AIの利活用の広まりで、協働グループでは生産性向上による雇用や所得の増加が期待できる。他方、代替グループでは、適切な対応がなければ雇用・所得の減少や伸び悩みが予想される。生成AIの恩恵を広く行き渡らせるためには、日本版スキルズ・フューチャーの創設によるリカレント教育の活性化、ジョブ型雇用の拡大、非正規社員を中心とした労働者支援の拡充など、技術進歩に合わせた労働市場の変革が求められよう。
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