サマリー
◆東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県)と地方(東京圏以外の43道府県)の労働生産性(以下、「生産性」)格差は、特に非製造業において大きい。その要因を地方別に分析すると、北陸や沖縄では資本ストックの「質」に課題がある業種の生産性向上が重要で、九州や東北、中国などでは資本ストックの「量」に課題がある業種への対応が有効であることが示唆される。
◆さらに業種別に分析すると、地方の「金融・保険」や「保健衛生・社会事業」などの業種では、資本ストックの「質」と「量」の両面に課題があるとみられる。資本ストックの「質」の課題に対しては、企業の売上高の拡大を需要側と供給側の両面から支援することが重要だ。資本ストックの「量」の課題に対しては、省力化投資などの投資効率が高い設備投資を促す政策が有効だ。
◆資本装備率が高いものの資本生産性は低い「小売」や「宿泊・飲食サービス」などの業種では、スクラップ・アンド・ビルドを通じた設備の最適化への支援も有効だ。資本生産性が高い一方、資本装備率は低いBtoB(企業向けサービス)関連業種などでは、政府や自治体、地域金融機関の支援で設備投資が加速すれば、生産性が東京圏並みに高まる可能性もある。
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