2024年12月貿易統計

円安による輸出価格の上昇を背景に貿易収支は6カ月ぶりの黒字に

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2025年01月23日

サマリー

◆2024年12月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+2.8%と3カ月連続で増加した。前月に続き前年比で円安ドル高になり、輸出価格が押し上げられたことが主因だ。輸出金額の季節調整値は前月比+6.3%と3カ月ぶりに増加した。輸入金額は前年比+1.8%と2カ月ぶりに増加し、季節調整値は前月比+2.2%と2カ月連続で増加した。貿易収支は+1,309億円と6カ月ぶりの黒字となり、季節調整値では▲330億円と43カ月連続の赤字となったものの赤字幅が大幅に縮小した。

◆2024年10-12月期の財の輸出数量は前期比+1.7%、輸入数量は同▲1.1%と試算される。実質GDP成長率におけるサービスの純輸出を含む外需寄与度は、12月の国際収支統計の結果次第ではあるもののプラスを見込む。

◆12月の輸出数量は前月比+8.6%と3カ月ぶりに増加した。前月低調だった乗用車に加え、自動車関連中間財(自動車の部分品、原動機)、鉄鋼や電算機類の部分品などの中間財も好調だった。輸出数量全体を地域別に見ると、米国向け(同+22.1%)、EU向け(同+33.2%)、アジア向け(同+3.8%)のいずれも増加した。

◆先行きの輸出数量は均して見れば横ばい圏で推移するとみている。シリコンサイクル(世界半導体市場に見られる循環)の回復を背景とした半導体関連財の輸出が引き続き期待できる一方、米国や欧州における緩やかな景気減速を主因に、輸出全体は伸び悩む見込みだ。なお、米トランプ大統領が就任前に掲げていた追加関税措置が仮に実現すれば、世界的に貿易や景気が停滞して外需が縮小するリスクがある。

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