サマリー
◆2023年3月末に政府が取りまとめた異次元の少子化対策の「たたき台」に掲げられた施策を全て合わせると6兆円程度の予算規模となる。これらを全て実施した場合の出生率上昇効果を試算したところ、0.35~0.49程度上昇する可能性がある。
◆両立支援・働き方関連施策の費用対効果は特に大きく、女性就業の「L字カーブ」解消に至れば出生率は0.24上昇する見込み。両立支援・働き方関連施策および、保育・幼児教育については所要財源あたりの出生率上昇効果が大きく、かつ、既存の社会保険制度からの財源調達が可能であることから、早急に実施すべきだ。
◆一方、児童手当の拡充は費用対効果が小さい。特に、児童手当の多子加算を実施する場合は巨額の財源を要することから、消費税率の引き上げは避けて通れず、丁寧に社会的合意を形成する必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
第217回日本経済予測
安定性を増す内需と下振れリスクが高まる外需①少子化対策、②「L字カーブ」、③米銀行不安、を検証
2023年05月23日
-
「次元の異なる少子化対策」として何を実施すべきか
政策効果を明示した上で、財源や負担の「社会的合意」を目指せ
2023年02月27日
-
希望出生率を実現するために必要な政策
「夫婦とも正規雇用の共働き」実現による子育て世帯の所得増を目指せ
2022年11月29日
-
第216回日本経済予測
少子化対策と金融政策の「次元」は変わるか①少子化対策、②賃上げ、③日銀金融政策、を検証
2023年02月20日
-
出生率の引き上げには在宅育児への支援強化も必要
医療保険属性別(被保険者・被扶養者別)の合計特殊出生率の推計
2023年02月01日
-
正社員女性の出生率上昇トレンドは 2021年度も継続
医療保険属性別(被保険者・被扶養者別)の合計特殊出生率の推計
2023年04月12日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日