サマリー
◆2023年3月末に政府が取りまとめた異次元の少子化対策の「たたき台」に掲げられた施策を全て合わせると6兆円程度の予算規模となる。これらを全て実施した場合の出生率上昇効果を試算したところ、0.35~0.49程度上昇する可能性がある。
◆両立支援・働き方関連施策の費用対効果は特に大きく、女性就業の「L字カーブ」解消に至れば出生率は0.24上昇する見込み。両立支援・働き方関連施策および、保育・幼児教育については所要財源あたりの出生率上昇効果が大きく、かつ、既存の社会保険制度からの財源調達が可能であることから、早急に実施すべきだ。
◆一方、児童手当の拡充は費用対効果が小さい。特に、児童手当の多子加算を実施する場合は巨額の財源を要することから、消費税率の引き上げは避けて通れず、丁寧に社会的合意を形成する必要がある。
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