サマリー
◆日本銀行(日銀)は大規模緩和策を継続しつつ、金融市場の不均衡の是正を図るという難しい政策運営を行っている。仮にイールドカーブ・コントロールが撤廃され、長期金利が2%程度まで上昇する場合、実質GDPは0.6%程度減少すると試算される。
◆金融緩和の中長期的な副作用として、①低金利と低生産性の罠、②財政規律の弛緩、に注意が必要だ。さらに、これらに共通して、「短期的な景気拡張」と「中長期的な経済成長」のトレードオフという困難な課題が浮かび上がる。
◆今後、物価と賃金の循環的な上昇が加速する局面では、政府と日銀の政策連携が改めて問われることになる。共同声明を見直すのであれば、中長期的な課題の解決に向けて、金融政策・成長戦略・財政運営の相互関係を明記することは一案となろう。
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