サマリー
◆足元のインフレは「コストプッシュ・インフレ」の側面が大きい。だが、単位労働コストやCPI構成品目の価格上昇率分布、企業の物価予想と密接な関係のある「粘着価格」品目(価格改定頻度の低い品目)の価格動向などを見ると、家計の消費行動と企業の価格改定行動には変化が見られる。背景には、新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵攻などに起因する供給ショック、国内の経済活動の正常化や高水準の家計貯蓄、資産バブル期に迫る労働需給のひっ迫などにより、需要と供給の両面で物価上昇圧力が高まったことがあるとみられる。
◆仮に家計・企業の行動変容が継続し、2023年春闘で3.0%の賃上げが実現すると、資源高と賃金面からの物価上昇圧力の高まりで同年のCPI上昇率は2%を超える見込みである。2024年春闘でも「物価高に負けない賃上げ」を求める状況が続き、賃上げ率は前年並みとなる可能性がある。実際に企業が春闘でこれほど高い賃上げを毎年受け入れるためには、人件費の増加分を円滑に価格転嫁できる環境の整備が必要だ。日本経済がおよそ四半世紀ぶりにインフレ均衡に戻るかどうかを占う上でも、賃上げ動向だけでなく企業間や企業・家計間の価格転嫁動向も注目される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
第216回日本経済予測
少子化対策と金融政策の「次元」は変わるか①少子化対策、②賃上げ、③日銀金融政策、を検証
2023年02月20日
-
日本経済見通し:2023年2月
経済見通しを改訂/日銀は新執行部の下でも緩和路線を当面継続か
2023年02月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
出産年齢から見るChild Penalty①
就業継続の広がりと先行研究から見える課題
2026年11月06日
-
消費データブック(2026/11/5号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2026年11月05日
-
2026年7-9月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+1.5%を予想~
個人消費は小幅減だった一方、設備投資と輸出が実質GDPを押し上げ
2026年10月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
-
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
-
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
-
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日

