重層的な世界経済の減速要因

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2022年07月21日

サマリー

インフレ率予想の上方修正とGDP成長率予想の下方修正が続いている。物価高は家計の購買力を損ね、消費者マインドを悪化させるため、多くの国が金融引き締めに動いている。ただし、インフレ抑制効果の発揮までタイムラグがある一方、金利上昇が不動産投資などを抑制するため、金融引き締めは少なくとも短期的には景気減速を強める。世界経済の減速懸念を背景に資源価格高騰に歯止めがかかり、銅やアルミニウムは価格下落が目立つ。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻の収束のめどが立たない中、原油や天然ガス価格は高止まりし、特に欧州でガス供給途絶への懸念が強い。代替策として石炭火力発電所の再稼働などが一時的に容認されたが、この夏は記録的な熱波や干ばつに見舞われ、温暖化対策も喫緊の課題であることが突きつけられている。加えて、「付き合い方」が分かったと思われた新型コロナウイルス感染症も感染力の高い派生型の登場で再拡大の動きを見せ、重層的な景気減速要因との戦いにまだ終わりは見えない。

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