サマリー
IMFが4月19日に公表した世界経済の2022年の成長率予想は+3.6%と1月時点の予想から0.8%pt下方修正された。わずか3カ月で大幅下方修正となった原因は、当然ながらロシアのウクライナ侵攻と西側諸国による対ロシア経済制裁によって資源価格が高騰し、インフレ圧力が一段と強まり、供給網が大きく混乱していることである。加えて、中国の上海市のロックダウンなど、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停滞も下方修正の一因である。ロシアとウクライナの戦争の先行きを予想することは難しく、対ロシア制裁は長期化が必至である。また、中国のゼロコロナ政策は少なくとも短期的には一段の景気下押し要因となり得る。一方で、多くの国はコロナ抑制と経済再開の両立を目指し、ワクチン接種進展などを背景に規制解除を進めている。コスト高や供給網混乱が重石となりやすい製造業と、規制解除の恩恵を受けるサービス業が綱引きする状況にあり、米国で予想される利上げ加速は需要が強いからこそである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2022年4月
資源高と「悪い円安」が重石に/日米で異なるインフレの特徴
2022年04月21日
-
米国経済見通し 7・9月も0.5%ptの利上げか
インフレ加速の長期化×景気後退懸念の緩和=利上げペースの加速
2022年04月21日
-
欧州経済見通し 当面、不確実性を払拭できず
時間とお金を要するロシア依存からの脱却
2022年04月21日
-
中国:内憂外患、リスクシナリオでは3%台も
メインシナリオは6月以降の景気回復で5.1%成長
2022年04月21日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年6月日銀短観
業況判断DI(最近)は底堅いが、先行きへの強い警戒が示された内容
2025年07月01日
-
2025年5月鉱工業生産
生産用機械工業などの増産で上昇も市場予想を大幅に下回る結果
2025年06月30日
-
なぜ女性は理系分野を選択しないのか?
女性のSTEM人材不足の現状と教育段階におけるジェンダーギャップ
2025年06月27日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日