サマリー
◆10年-2年米国債利回りスプレッドが4月初めに逆イールド化し、景気後退懸念が強まったのも束の間、足下では逆イールドが解消している。金融政策の不確実性が低下するとともに、足下の実体経済の力強さが景気後退懸念を和らげたといえる。
◆他方で、物価上昇圧力は高いままであり、景気が堅調なことも相まって、FRBの更なるタカ派化の可能性は残る。5・6月のFOMCでそれぞれ0.5%ptずつ利上げすることは既に市場でも織り込み済みである。しかし、足下では、7・9月のFOMCでも0.5%ずつ利上げが実施される可能性が取りざたされている。FRBが金融引き締めを急ぐ背景には、景気の減速や中間選挙、新型コロナウイルスの感染拡大の可能性など10-12月の利上げのしにくさが挙げられる。
◆目先は、5・6月のFOMCにおける0.5%ptの利上げやバランスシート縮小(QT)の開始が最注目であるわけだが、とりわけ2022年後半の米国経済の先行きを占うという意味でも、7・9月のFOMCでも急ピッチでの利上げが継続する可能性や、中立金利に到達した後のFRBのスタンス転換の可能性も併せて確認していく必要があるだろう。
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