サマリー
◆【企業部門】2021年10月の輸出や生産は小幅に増加した。またサービスも改善した。部品調達難の一部緩和で自動車生産・輸出は持ち直したが、世界的な半導体不足がなお重石となり、輸出数量指数は前月比+2.5%、鉱工業生産指数も同+1.8%と、前月の低下幅に比べて小幅な上昇にとどまった。一方、第3次産業活動指数は前月比+1.5%と2カ月連続で上昇した。新型コロナウイルスの感染状況が改善して人出が増加し、「生活娯楽関連サービス」の活動指数がとりわけ上昇した。
◆【家計部門】2021年10月の消費、雇用、賃金はまちまちの内容であった。消費関連指標では、9月に大幅に落ち込んだ自動車購入において反動増が見られ、二人以上世帯の実質消費支出が前月比+3.4%と2カ月連続で増加した。雇用関連指標では、完全失業率が2.7%と3カ月ぶりに低下した。有効求人倍率は1.15倍と前月から0.01pt低下したものの、求人も求職も増加傾向にある。所得関連指標では、現金給与総額は前年比+0.2%と8カ月連続で増加した。ただし、就業形態間で賃金の回復状況には格差が見られる。
◆【四半期指標】2021年7-9月期の法人企業統計と実質GDP(2次速報)はやや悪い内容であったものの、12月日銀短観では業況判断が改善した。法人企業統計では、全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前期比▲0.4%、経常利益は同▲7.4%と減収減益となった。実質GDP成長率(2次速報)は前期比年率▲3.6%と、1次速報から下方修正された。いずれも部品調達難を受けた自動車の減産や、緊急事態宣言の発出が重石となった。12月日銀短観によると、大企業製造業の業況判断DI(最近)は+18%pt(前回差±0%pt)、大企業非製造業は+9%pt(同+7%pt)となった。経済活動の再開を背景に、業況回復のけん引役が製造業から非製造業へと移行していることが確認された。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
2025年1-3月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率▲0.2%に改善するも民間在庫が主因
2025年06月09日
-
2025年4月消費統計
総じて見れば前月から概ね横ばい、先行きも横ばい圏で推移しよう
2025年06月06日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日