サマリー
◆【企業部門】2021年9月の輸出や生産は大幅に減少した一方、サービスは改善した。供給制約で自動車工業が大規模な減産を余儀なくされたことで、輸出数量指数は前月比▲7.8%、鉱工業生産指数も同▲5.4%となった。一方、第3次産業活動指数は前月比+0.5%と3カ月ぶりに上昇した。新型感染症の新規感染者数が減少したことによる人出の回復が影響し、「生活娯楽関連サービス」や「小売業」などが全体を押し上げた。
◆【家計部門】2021年9月の消費、雇用、賃金はまちまちの内容であった。消費関連指標では、二人以上世帯の実質消費支出が前月比+5.0%と5カ月ぶりに増加した。雇用関連指標では、完全失業率が2.8%と2カ月連続で横ばいであった。労働参加率は小幅に低下するなど、雇用環境の改善は足踏みしている。他方、有効求人倍率は1.16倍と前月からわずかに上昇した。所得関連指標では、現金給与総額は前年比+0.2%となった。ただし賃金の回復状況には業種間で偏りが見られる。
◆【四半期指標】2021年7-9月期の実質GDP成長率(1次速報)は前期比年率▲3.0%(前期比▲0.8%)であった。民需関連では在庫を除く全項目が減少した。個人消費は供給制約で自動車販売が大幅に減少したことに加え、家電販売の不振も重なり、耐久財を中心に減少した。設備投資は2四半期ぶりに減少し、企業の自動車購入が減少したことや、半導体製造装置などの能力増強投資の増勢鈍化が影響した。輸出入はともに減少したが、輸入の減少額が輸出のそれを上回ったことで、外需寄与度はプラスに転じた。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日