2021年06月02日
サマリー
◆2050年のカーボンニュートラルの実現には、温室効果ガスの約9割を占めるCO2の削減が不可欠である。CO2排出量を部門別にみると、近年は総じて減少傾向にあるものの、運輸部門のCO2削減ペースは他部門に比べて遅れている。その一因として、エネルギー源が化石燃料に依存している点が挙げられる。
◆運輸部門の中でもとりわけ貨物分野のCO2削減が遅れている。背景にはEC市場の拡大に伴う積載効率の低下などがある。積載効率の改善には、現在進められている大規模輸送化に加え、多頻度小口化への対応が求められる。その一例としては、宅配ボックスを設置して非対面で配達する「置き配」の普及を通じた再配達の削減が挙げられる。
◆再配達抑制によるCO2排出量の削減効果を推計したところ、再配達率が1%低下すると約2万トンのCO2を削減できるとの結果を得た。置き配だけでは運輸部門の大幅なCO2削減は難しいものの、比較的容易で早期に実施できるというメリットがある。今後もEC市場の拡大が見込まれる中で置き配の重要性は増すだろう。既存制度の活用や置き配を巡る法的課題の解決に加え、普及率の数値目標設定やロードマップを策定することで、取り組みの加速が求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2030年の温室効果ガス排出削減量が拡大へ
2030年の削減目標は「2013年比で▲45%」が目安へ
2021年04月12日
-
脱炭素化政策の国際比較に見る日本の課題
新規産業育成や硬直的な日本労働市場への対応が重要
2021年02月24日
-
「脱炭素社会」実現の経済的意義と課題
グリーン投資は経済成長に寄与するが限界費用の増加に注意が必要
2021年02月02日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年12月機械受注
大型案件による押し上げもあり、船電除く民需は大幅に増加
2026年02月19日
-
2026年1月貿易統計
米国関税の影響続くも、AI・データセンター需要が輸出をけん引
2026年02月18日
-
経済指標の要点(1/17~2/17発表統計)
2026年02月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
2026年度税制改正大綱解説
給付付き税額控除導入を含めた所得税の抜本的改革が必要
2025年12月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
「飲食料品の消費税ゼロ」の経済効果
世帯あたり年8.8万円の負担軽減になり個人消費を0.5兆円押し上げ
2026年01月20日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
2026年度税制改正大綱解説
給付付き税額控除導入を含めた所得税の抜本的改革が必要
2025年12月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
「飲食料品の消費税ゼロ」の経済効果
世帯あたり年8.8万円の負担軽減になり個人消費を0.5兆円押し上げ
2026年01月20日

