2021年02月02日
サマリー
◆経済と環境の相関が強くなっている状況のもと、世界各国の政策当局者は一部の環境関連(グリーン)政策の経済効果が他の政策と比較して大きいと認識している。こうした中で発生したコロナショックは世界各国のグリーン化への取組みを阻害するのではなく、むしろ加速させた可能性がある。
◆2050年のカーボンニュートラル目標を実現するために必要なエネルギー投資が発現すると、日本の実質GDPの水準は今後30年にわたり1.2%ほど押し上げられると試算される。政府は民間企業の設備投資の拡大を通じて脱炭素社会の実現を目指す方針だが、特に2030年以降、CO2削減のための限界費用が増加し、企業の関連投資の拡大を阻害する可能性には注意が必要だ。
◆日本と欧州のグリーン政策を比較すると、重点的に強化する分野に類似性を確認できる。エネルギー部門において水素産業や洋上風力発電等の新しい産業の開拓を目指すことや、第一次産業のグリーン化を重要戦略と位置付けていることは日欧で共通している。一方、欧州の政策との相違点としては、グリーン化に伴う産業構造の転換や労働移動に対する政府の支援度合いが挙げられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済中期予測(2021年1月)
コロナ禍で変容する世界経済と加速するグリーン化の取組
2021年01月20日
-
日本経済中期予測(2021年1月)解説資料
~コロナ禍で変容する世界経済と加速するグリーン化の取組~
2021年01月20日
同じカテゴリの最新レポート
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
2025年1-3月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率▲0.2%に改善するも民間在庫が主因
2025年06月09日
-
2025年4月消費統計
総じて見れば前月から概ね横ばい、先行きも横ばい圏で推移しよう
2025年06月06日
最新のレポート・コラム
-
医療等情報の二次利用に向けた環境整備
医療DXの効果を可視化し、一次利用を広げることがカギ
2025年06月12日
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
議決権行使助言業者規制を明確化:英FRC
スチュワードシップ・コード改訂で助言業者向け条項を新設
2025年06月10日
-
上場後の高い成長を見据えたIPOの推進に求められるものとは
グロース市場改革の一環として、東証内のIPO連携会議で経営者向け情報発信を検討
2025年06月10日
-
「内巻」(破滅的競争)に巻き込まれる中国自動車業界
2025年06月11日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日