サマリー
◆11月の全国コアCPI(除く生鮮食品)変化率は前年比▲0.9%と前月(同▲0.7%)から低下した。物価の基調を示す新コアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)上昇率は同▲0.3%となった。
◆コアCPIの内訳を見ると、前月に続いてエネルギーが押下げ要因となった。中でも「都市ガス代」と「電気代」が伸び率の低下に寄与した。春頃の原油安の影響が遅れて表れたことや、消費増税の押上げ効果が経過措置によって19年11月に表れたことに伴い、その剥落も1ヶ月遅れて当月に表れたことが背景だ。その他の品目では、Go Toトラベル事業の影響により「宿泊料」が前年比▲34.4%となった。同事業の影響を除いた上昇率(総務省試算)はコアCPIが同▲0.5%、新コアコアCPIが同+0.2%である。
◆先行きの全国コアCPIの前年比変化率は21年初に底を打つと見込まれる。その後はGDPギャップに見るマクロの需給バランスの改善が遅行的に物価に影響を与えることで徐々に持ち直すだろう。なお21年1月はCPIの「宿泊料」の調査日がGo Toトラベル事業の一時停止期間内にあたるため、CPIに対する同事業の直接的な下押し効果(前年比▲0.4%pt程度)が一時的に剥落する見込みだ。
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