サマリー
新型コロナウイルスに翻弄された1年が終わろうとしている。感染者の急増を抑制するべく多くの国が相次いで導入に踏み切った都市封鎖(ロックダウン)は、2020年上半期の世界経済成長率を著しく落ち込ませた。新規感染者数がピークアウトした年央にロックダウンが段階的に解除されると、世界経済は記録的な反発を見せた。ただし、主要国の中で年末までV字回復を維持できたのは中国のみであり、日米欧は秋以降の感染者数急増を背景に2020年10-12月期の景気は急減速あるいはマイナス成長へ転じたと見込まれる。
2021年の世界経済は2020年の大幅マイナス成長からプラス成長に転じると見込むが、新型コロナウイルス感染症の封じ込めに成功した中国以外は緩やかな景気回復にとどまろう。2020年12月に英国と米国でワクチン接種が始まり、EUも追随する運びとなったことはもちろん好材料だが、普及にはしばらく時間がかかるため、日米欧では感染防止のための規制を実施しつつ、金融・財政政策による景気下支えを継続することになろう。2021年半ば以降、ワクチンが普及して感染抑制に大きな効果を発揮する場合には景気の上振れが見込まれる一方、ワクチンが感染抑制に十分な効果を発揮できない場合も想定される。感染抑制と経済活動の両立は2021年も変わらぬ課題であり続ける。
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