サマリー
◆多くの国で新型コロナウイルスの新規感染者数はピークアウトしたものの、12月に入っても、思うようには抑え込めていない。高止まりや再増加を受けて、規制緩和の先送りや規制再強化に踏み切らざるを得ないケースも増えている。ロックダウン実施→感染抑制→行動制限の緩和→感染拡大→規制強化…と、なかなか悪循環から抜け出せない。ワクチンの承認・接種開始がループを断ち切るきっかけと期待されるが、供給制約がある現状では、景気を大きく押し上げる即効薬とはなりにくい。ワクチンが広く普及するまでは、従来通り、財政金融政策で下支えする必要があるだろう。
◆ユーロ圏、英国とも2020年10-12月期はマイナス成長に落ち込んだ後、2021年は政策に支えられてプラス成長を辿ると予想する。もっとも、どのような経路を描くかは、新型コロナウイルスの感染状況次第・ワクチンの普及に左右されよう。
◆ECBは、予告通り、政策手段の再調整を決めた。既存メニューを広範囲に拡張させ、市場の大きな失望を招かなかったものの、サプライズ感は乏しく、クリスマスプレゼントとまではならなかった。
◆欧州の負け組である英国は、弱り目に祟り目の状態だ。約300年ぶりの大幅なマイナス成長に膨大な借金を抱え、欧州で最大級の感染者や死亡者の被害を出している状況下で、合意なしの実質的なEU離脱を選択するならば、経済見通しの下方修正は避けられない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
1-3月期ユーロ圏GDP 成長ペースは再加速
市場予想を上回る良好な結果、ただし先行きは減速へ
2025年05月01日
-
欧州経済見通し 相互関税で悲観が広がる
対米輸出の低迷に加え、対中輸出減・輸入増も懸念材料
2025年04月23日
-
欧州経済見通し 「トランプ」が欧州連帯を促す
貿易摩擦激化の可能性が高まる一方、国防費の増加議論が急展開
2025年03月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日