サマリー
◆2021年の実質GDP成長率は+2.3%の見込みである。新型コロナウイルス感染拡大防止策が国内外で継続されるとの想定の下、前年の落ち込み(▲5.3%の見込み)からの回復は緩やかになるだろう。需要項目別に見ると、個人消費と輸出はプラス成長が見込まれるものの、前年の落ち込みを埋めるには至らない。設備投資と住宅投資は小幅に減少する見通しである一方、公需はプラス成長が続くとみられる。
◆2021年の景気回復を後押しする主な要因は、①緩和的な財政・金融政策の維持、②グローバルなIT市況の改善、③米国におけるバイデン政権の発足、④在庫調整の進展、⑤東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催、の5つあると考えられる。
◆感染状況次第では、景気が上下に大きく振れる可能性がある。そこで、緩やかな景気回復を見込むメインシナリオに加え、有効なワクチンが2021年後半から急速に普及する「ワクチン普及シナリオ」と2021年に日米欧で二度の感染爆発が発生する「リスクシナリオ」を作成した。ワクチン普及シナリオの実質GDP成長率は2021年に+2.9%に高まり、2022年には4%を超える見通しである。一方、リスクシナリオでは▲0.4%まで悪化し、2年連続のマイナス成長が見込まれる。
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