サマリー
日米欧とも7-9月期のGDP成長率は、4-6月期の急激な落ち込みから急反発を遂げた。また、世界が注目した米国の大統領選挙は民主党のバイデン候補が勝利を確定的とし、さらにファイザーとモデルナが、それぞれが開発を手がける新型コロナウイルスのワクチンが高い有効性を示したとの治験結果を発表した。これらを好感した米国株はダウ、S&P500とも史上最高値を更新し、また日経平均も29年半ぶりの高値をつけた。ただし、新型コロナウイルスの封じ込めに成功した中国とは異なり、日米欧では10月から11月にかけて新規感染者が急増し、短期的な景気見通しではむしろ下振れリスクが高まっている。欧州主要国は11月に相次いでロックダウン(都市封鎖)の再実施を余儀なくされ、10-12月期はマイナス成長が避けられないと見込まれる。米国でも州単位で飲食店の営業制限や夜間外出禁止令など出されてきており、規制強化の動きが広がっている。日本では周知の通りGo Toキャンペーンの一部制限の議論が始まった。春先に比べれば、行動規制などの強化と経済活動との両立をいかに図るかが重視されているものの、景気や雇用への不安が再び高まりつつある。株価は景気の先行指標とされ、バイデン大統領誕生や、ワクチンの普及など先々のニュースが株価に織り込まれるのは当然だが、株価と実体経済との乖離が拡大している点はいささか気がかりである。株価上昇を追いかけて景気が回復するパターンが実現されるか注視が必要であろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2020年11月
経済見通しを改訂/景気回復が続くも、感染爆発懸念は強まる
2020年11月20日
-
米国経済見通し 入り混じる期待と不安
2ヵ月弱の政治の空白後、問われるバイデン政権の調整力
2020年11月20日
-
欧州経済見通し 景気の二番底は軽微か
バイデン“次期”米大統領とどう付き合う?
2020年11月20日
-
中国経済見通し:強さに死角はないのか?
5中全会で決まったこと、決まらなかったこと
2020年11月20日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日