感染拡大が潜在成長率に与える影響

感染拡大が続けば潜在成長率は大幅なマイナスに

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2020年08月28日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦
  • 経済調査部 エコノミスト 小林 若葉
  • 経済調査部 エコノミスト 田村 統久
  • 経済調査部 エコノミスト 岸川 和馬
  • 経済調査部 シニアエコノミスト 神田 慶司

サマリー

◆新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の生活様式をはじめ様々な構造変化を引き起こし、経済の需要面だけでなく、供給面から見た日本経済の成長力を大きく左右する可能性がある。そこで本稿では、コロナショックが経済の供給能力、すなわち潜在成長率にいかに影響を及ぼすかを検討する。

◆資本ストックに関して、コロナショックによる需要の急減を受け、とりわけ対面を伴うサービス業でストック調整圧力が高まっている。だが、それらの業種が設備投資全体に占める割合は低いことに加え、一部業種ではコロナ禍が設備投資に対しプラスに働くとみられ、マクロのストック調整圧力は限定的である。

◆一方、労働投入については、労働参加率、労働時間ともに足元で大きく落ち込んでいる。これはサービス業を中心とした営業活動の自粛に起因したものであり、経済活動が再開されるに伴って、元のトレンドへと回帰する公算が大きい。

◆潜在成長率の先行きに関して、標準シナリオにおいては早晩、低下傾向に歯止めが掛かり、ゼロ近傍ながらプラス圏での推移が続く見込みである。もっとも、感染拡大による活動自粛が長引けば、ストック調整は深刻化し、労働投入も下振れする可能性が高く、潜在成長率は大幅なマイナスになると見込まれる。

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