サマリー
◆新型コロナウイルスの影響は需要ショックであると同時に供給ショックであり、サプライチェーン網が多数の地域にまたがって広がることによるデメリットが世界的に顕在化している。本稿では、グローバルなサプライチェーンの構造、および生産の波及経路を明らかにし、今後の世界経済へのインプリケーションを探る。
◆国際産業連関表を用いた波及効果の分析によれば、サプライチェーンを通じた生産1単位当たりの他国への波及効果は、需要・供給の両面において台湾、韓国などが大きく、米欧中は小さい。ただし、生産規模も考慮すれば中国の存在感が非常に大きい。
◆世界のサプライチェーンは、東アジア、EU、NAFTAの3極を中心に形づくられ、その3極が相互に影響を及ぼしあっている。こうした構造を踏まえると、今後は欧米での生産停滞が中国の持ち直しを阻害する可能性が示唆される。
◆日本を取り巻くサプライチェーンの状況を確認すると、一国全体では需要・供給の両面において中国への依存度が非常に高い。しかし、業種別では、製品の性質などによって、影響を受けやすい国・地域や、その影響の大きさ、波及経路に違いが見られる。自動車産業などは海外から供給面で影響を受けやすく、供給制約による生産の下押しが続く可能性があろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年9月全国消費者物価
政策要因でコアCPI上昇率拡大も物価の上昇基調には弱さが見られる
2025年10月24日
-
2025年9月貿易統計
トランプ関税の悪影響続くも、円安効果で輸出金額は5カ月ぶり増加
2025年10月22日
-
2025年8月機械受注
非製造業(船電除く)を中心に弱含み、政府は基調判断を下方修正
2025年10月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

