サプライチェーンを通じた生産停滞の波及構造と生産回復期への示唆

今後は欧米の回復の遅れが、中国の持ち直しの阻害要因に

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2020年05月26日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦
  • 経済調査部 エコノミスト 小林 若葉

サマリー

◆新型コロナウイルスの影響は需要ショックであると同時に供給ショックであり、サプライチェーン網が多数の地域にまたがって広がることによるデメリットが世界的に顕在化している。本稿では、グローバルなサプライチェーンの構造、および生産の波及経路を明らかにし、今後の世界経済へのインプリケーションを探る。

◆国際産業連関表を用いた波及効果の分析によれば、サプライチェーンを通じた生産1単位当たりの他国への波及効果は、需要・供給の両面において台湾、韓国などが大きく、米欧中は小さい。ただし、生産規模も考慮すれば中国の存在感が非常に大きい。

◆世界のサプライチェーンは、東アジア、EU、NAFTAの3極を中心に形づくられ、その3極が相互に影響を及ぼしあっている。こうした構造を踏まえると、今後は欧米での生産停滞が中国の持ち直しを阻害する可能性が示唆される。

◆日本を取り巻くサプライチェーンの状況を確認すると、一国全体では需要・供給の両面において中国への依存度が非常に高い。しかし、業種別では、製品の性質などによって、影響を受けやすい国・地域や、その影響の大きさ、波及経路に違いが見られる。自動車産業などは海外から供給面で影響を受けやすく、供給制約による生産の下押しが続く可能性があろう。

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