サマリー
◆2019年12月の生産指数は前月比+1.3%と3ヶ月ぶりに上昇し、コンセンサス(同+0.7%)を上回った。ただし、出荷指数は同+0.0%と横ばいであり、需要が回復したとは言い難く、在庫指数は上昇に転じている。生産は単月では回復したものの、10月の大幅低下からの戻りは弱く、水準は増税前の9月までと比べると大きく低下したままだ。10-12月期の生産指数は前期比▲4.0%と大幅減産となった。
◆業種別では、15業種中6業種で上昇した。生産用機械工業、汎用・業務用機械工業などの資本財が上昇に寄与した。これらの業種はそれぞれ3ヶ月ぶりの上昇であり、大型台風の影響が落ち着き、生産が復旧したとみられる。また、電子部品・デバイス工業は世界的な半導体需要の回復を背景に3ヶ月連続で上昇した。12月はこうした業種の大幅上昇が全体を押し上げており、幅広い業種では生産調整局面が続いている。
◆製造工業生産予測調査によると、2020年1月の生産指数は前月比+3.5%、2月は同+4.1%と見込まれている。計画のバイアスを補正した1月の生産指数(経済産業省による試算値、最頻値)は同+0.5%と試算されている。ただし、調査期間が1月上旬であるため、これらの予測値には新型肺炎の影響が反映されていない可能性が高い。1、2月の生産指数は計画から大きく下振れするだろう。
◆2020年2月7日に公表される12月景気動向指数の一致CIは前月差+0.2ptと予想する。この数値を前提とすると、基調判断は5ヶ月連続で「悪化」となる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2019年11月鉱工業生産
前月の大幅減からさらに減少、出荷指数は現行基準で最低水準を更新
2019年12月27日
-
2019年12月貿易統計
輸出数量は2ヶ月ぶりに増加、米国・EU向けが反発
2020年01月23日
-
日本経済見通し:2020年1月
Ⅰ.2020年の世界経済、「適温経済」への期待に潜むリスク Ⅱ.企業活動に見る消費税増税の影響
2020年01月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日