2019年12月鉱工業生産

大型台風からの回復が見られるものの、戻りは弱い

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2020年01月31日

  • 鈴木 雄大郎
  • 小林 俊介

サマリー

◆2019年12月の生産指数は前月比+1.3%と3ヶ月ぶりに上昇し、コンセンサス(同+0.7%)を上回った。ただし、出荷指数は同+0.0%と横ばいであり、需要が回復したとは言い難く、在庫指数は上昇に転じている。生産は単月では回復したものの、10月の大幅低下からの戻りは弱く、水準は増税前の9月までと比べると大きく低下したままだ。10-12月期の生産指数は前期比▲4.0%と大幅減産となった。

◆業種別では、15業種中6業種で上昇した。生産用機械工業、汎用・業務用機械工業などの資本財が上昇に寄与した。これらの業種はそれぞれ3ヶ月ぶりの上昇であり、大型台風の影響が落ち着き、生産が復旧したとみられる。また、電子部品・デバイス工業は世界的な半導体需要の回復を背景に3ヶ月連続で上昇した。12月はこうした業種の大幅上昇が全体を押し上げており、幅広い業種では生産調整局面が続いている。

◆製造工業生産予測調査によると、2020年1月の生産指数は前月比+3.5%、2月は同+4.1%と見込まれている。計画のバイアスを補正した1月の生産指数(経済産業省による試算値、最頻値)は同+0.5%と試算されている。ただし、調査期間が1月上旬であるため、これらの予測値には新型肺炎の影響が反映されていない可能性が高い。1、2月の生産指数は計画から大きく下振れするだろう。

◆2020年2月7日に公表される12月景気動向指数の一致CIは前月差+0.2ptと予想する。この数値を前提とすると、基調判断は5ヶ月連続で「悪化」となる。

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