サマリー
2020年の世界経済については、二つのデカップリングの行方に注目したい。一つは製造業と非製造業のデカップリングだ。2019年には製造業の不振が世界レベルで成長の足を引っ張った。幸い、その非製造業への波及は限定的だったのだが、ここにきて先進各国で雇用の伸びに陰りが見られるなど、非製造業を支える内需の伸びしろが縮小している。もっとも米中協議の「第一段階合意」が反故にされて摩擦が激化するなどがなければ、製造業が一層の不振に陥るリスクも限定的であり、非製造業が製造業にサヤ寄せされる格好でデカップリングが解消し、世界経済が大幅に悪化するといった事態は避けられよう。2019年にもう一つ目立ったのが、さえない実体経済と好調な株式市場のギャップであった。甚だしきは6四半期連続で成長率が減速しながらも株価が史上最高値を更新してきたインドであるが、景気停滞が長期化しているユーロ圏でも、株価は年初に右肩上がりに転じた。FRB、ECBの緩和への転換が米欧の市場を刺激した直接的な効果に加え、資本流出の恐怖から解放された新興諸国の利下げが、株高を世界的な現象としている。注意したいのは、株価には実体経済を先取りする側面とともに、「美人投票」の側面もあることだ。世界的な株高等が惹起した「上がるという期待」のみによって上昇する市場も存在し得るということだが、それが美人であるとは限らない。そうした市場がいずれ「実態」への収斂を余儀なくされるとすれば、2020年は「選別」を迫られる年ともなるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2020年の日本経済見通し
成長再加速に向けて鍵を握る、グローバルな製造業の回復シナリオ
2019年12月19日
-
2020年の米国経済見通し
大統領選を控え、トランプ大統領は企業活動の持ち直しを目指す
2019年12月19日
-
2020年の欧州経済見通し
低成長脱出の鍵を握る財政政策
2019年12月19日
-
中国:巻き起こる「保6」論争と「安定」第一
小康社会の全面的完成を実現する2020年は景気下支えを強化へ
2019年12月19日
同じカテゴリの最新レポート
-
CPIの2025年基準への改定による影響
コアCPIの前年比上昇率は0.0~▲0.3%pt程度の下方改定か
2026年07月16日
-
2026年5月機械受注
船電除く民需は前月の反動などで大幅に減少
2026年07月15日
-
骨太方針のポイント② ~「責任ある積極財政」の試金石は2030年代に
「財政ボーナス期」後を見据え「成長ありき」でない財政運営が必要
2026年07月15日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

