サマリー
世界的な製造業の不振が徐々に明らかになりつつある。その波はこれまで経済的な独り勝ちを続けてきた米国にも及びつつあり、FRBによる2度の利下げを正当化する要因にもなっている。これに関して注目されるのは、そのトランプ米大統領の選挙戦略との関係である。このところ、トランプ政権の対中強硬姿勢に若干のゆるみが見られるが、それが仮に米中貿易戦争がラスト・ベルトの製造業を含む米国経済にとってもマイナスであること、従って選挙戦略上も中国に向けた矛をいったん収めることが得策であることを、トランプ氏が正しく認識した結果であるとすれば、緊張緩和にはそれなりの持続性が見込めることになる。しかしトランプ氏の政策、というよりも挙動は往々、こうした合理的な類推を裏切ってきた。経済的帰結はどうあれ、例えば同氏が「戦っている姿」を有権者に見せつけることを有効な(あるいは代替手段のない)選挙戦略であると認識しているとすれば、中国向けの強面はいずれ復活する。「合理的なトランプ氏」にベットするのは、やはり危険というべきか。もっともトランプ氏が合理的か否かが、当面の株式市場や為替レート、ひいては世界的な製造業の底の深さを左右することは確かであり、さしあたっては10月上旬に予定される米中閣僚級協議を注目しておく必要があろう。
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