サマリー
◆ECB(欧州中央銀行)は9月の理事会で3年半ぶりとなる利下げに加え、資産買取プログラムの再開を発表した。さらに、マイナス金利と量的緩和政策の実施期限を、インフレ率の持続的な目標水準の達成と直接結び付け、従来用いてきた期間指定を撤廃した。「前年比2.0%をやや下回るインフレ率」を達成するために政策を総動員した感があるが、その持続性と実効性には疑問符が付き、金融政策の限界も意識される結果となった。ドラギECB総裁もこの問題意識を共有しており、ユーロ圏の需要創出には財政政策が中心的な役割を果たすべきとこれまでになく強い口調で主張した。
◆ユーロ圏景気は低成長と低インフレがしばらく継続すると予想される。内需の柱である個人消費は、雇用増と実質賃金の上昇、それに低金利によって下支えされると見込まれる。しかし、景気先行指標である企業景況感は、米中貿易摩擦の長期化や、先の見えないBrexit(英国のEU離脱)を背景に悪化傾向にある。8月の鉱工業部門の企業景況感は小幅に改善したものの、同じ8月の中国の鉱工業生産と小売売上高は一段と減速しており、外需の持ち直しを期待するのは時期尚早と考える。
◆英国では7月末に就任したジョンソン首相と議会が9月初めに「合意なしの離脱」を巡って真っ向から対立した。議会が離脱期限の延期の申請を首相に強制する法律を成立させたことで、10月31日の「合意なしの離脱」の可能性は大きく後退したものの、Brexitが今後どのような経過をたどるのかは依然として不透明である。離脱期限が延期され、総選挙が前倒し実施される可能性が高まったと考えるが、その結果次第で「合意なしの離脱」が最終的に選択される可能性が残る一方、EU離脱を撤回して残留するシナリオもまだ完全には否定されない。先行きの見通しが混沌とする中で、企業と消費者の景況感指標はそろって悪化している。GDP成長率は4-6月期のマイナス成長から7-9月期はプラス成長に転じると予想するが、低成長を脱するわけではないだろう。
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