サマリー
◆中国の内需減速が続いている。2019年8月の小売売上高(名目)は前年同月比7.5%増(以下、変化率は前年同月比、前年同期比)と、低空飛行が続き、1月~8月の固定資産投資は5.5%増と、1月~7月の5.7%増から一段と鈍化した。
◆米中摩擦の長期化・複雑化の影響が及ぶのは当然のことながら当事者にとどまらない。日本やASEANと中国の間にはサプライチェーンが構築されているし、中国経済の減速は世界的な輸出低迷の主因の一つとなる。中国の輸入は対米を除いても昨年11月以降急減速し、2019年5月以降は4ヵ月連続で前年割れとなった。
◆こうした中、中国政府はインフラ投資のための地方政府特別債券の発行枠の増額を決定し、中国人民銀行は9月16日に預金準備率を0.5%引き下げた。景気下支えのための取り組みは本格化しつつある。ただし、景気の減速を止めるには力不足であろう。さらなる金融緩和(預金準備率の引き下げ)に加え、補助金支給による消費刺激策発動にも注目したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:新5カ年計画の鍵は強国と自立自強
基本方針は現5カ年計画を踏襲、構造問題の改革意欲は低下?
2025年10月24日
-
中国経済見通し:米中摩擦と厳しさ増す内需
固定資産投資は前年割れ。米中貿易戦争は再び激化?
2025年10月21日
-
15・5計画、構造問題への処方箋を出せるか?
5年間の平均成長率目標は設定「できない」可能性大
2025年10月21日
最新のレポート・コラム
-
日本維新の会が掲げる税制関連施策
所得税インフレ調整・給付付き税額控除の議論が加速する見込み
2025年10月28日
-
親子上場などに関する開示議論の再開
不十分な開示状況に対して、開示項目の記載必須化に向けた議論も
2025年10月27日
-
健康経営の新たな戦略基盤
従業員多様化時代のウェルビーイングプラットフォームの可能性
2025年10月24日
-
2025年9月全国消費者物価
政策要因でコアCPI上昇率拡大も物価の上昇基調には弱さが見られる
2025年10月24日
-
バブル期と比較しても、やはり若者が貧しくなってはいない
~未婚若年層の実質可処分所得・1980年からの超長期比較版
2025年10月27日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

