サマリー
2017年の世界は同時好況的状況にあった。2018年は新興国に負担を強いながらも米国が世界を支えた。2019年には税制改革効果の減退や雇用増加ペースの鈍化などにより、米国経済が減速に向かうと見込まれるが、その程度によっては世界的な景況感が相当悪化する可能性もあろう。気になるのはそれがもたらす政治的リスクである。2020年に大統領選挙を控えるトランプ米国が景気減速を黙って見過ごすことはなかろうが、議会は既に「ねじれ」となり、思うに任せない内政からフラストレーションをため込んだトランプ氏の外向けの強面がより鮮明となるのは既にメインシナリオであるように思える。またトランプ米国が他国の民主化に興味を失う中で、新興国の其処此処にエルドアン氏やプーチン氏、習近平氏などの21世紀型プチ独裁者が跋扈している。彼らもまた、世界景気の停滞という外部環境に直面し、外に敵を作る誘惑に駆られる可能性がある。独裁者的でありながらポピュリストというのが、彼らの特徴だからだ。2019年は地政学的リスクに目配りが必要な年になりそうだ。或いはそもそも、トランプ氏が米国の大統領でいる限り、世界レベルでの「政治の季節」が続かざるを得ないというべきか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2019年の欧州経済見通し
巡航速度での成長を予想するが、Brexitは攪乱要因
2018年12月19日
-
2019年の日本経済見通し
外需足踏み・在庫調整で減速/内需成長の鍵を握る原油価格と増税対策
2018年12月18日
-
2019年の中国経済見通し:強まる景気減速感
楽観視は許されない米中協議
2018年12月18日
-
2019年の米国経済見通し
減税効果剥落で減速が基本シナリオ、貿易摩擦が引き続きリスクに
2018年12月18日
同じカテゴリの最新レポート
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
-
2025年4月貿易統計
輸出金額は7カ月連続の増加も、先行きの不透明感は継続
2025年05月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日