サマリー
◆大和総研では2018年の実質GDP成長率は前年比+2.9%と予想する。これは今回の景気拡大が始まった2009年以降で最も成長率が高かった2015年と同程度の成長率である。税制改革による企業収益の大幅な増加は、企業の設備投資を押し上げたのみならず、雇用者数の増加によって個人消費にも波及した。
◆減税効果は2019年には剥落することになるため、GDP成長率の鈍化は免れないだろう。もっとも、税制改革の効果が剥落したとしても、雇用者数の増加、個人消費の拡大を成長エンジンとした、自律的な成長が持続すると考えられる。大和総研では2019年の実質GDP成長率は前年比+2.6%と、引き続き+2%程度とみられる潜在成長率を上回る底堅い成長が続くと予想する。
◆だが、減税効果の剥落以外にも、経済を下振れさせるリスク要因が増えている点には注意が必要である。企業の人手不足は深刻度を増しつつあることに加え、輸送キャパシティの不足など、供給面でのボトルネックが生産活動の拡大を阻害する可能性が高まっている。
◆加えて、2018年の大きな話題であった通商政策を巡る問題については、2019年も引き続き大きなリスク要因となろう。貿易摩擦をきっかけとした貿易停滞が、米国内需を腰折れさせる可能性は低いと考えられるが、貿易摩擦による世界経済の減速や、金融市場の変動などによって悪影響が増幅するリスクがあり、引き続き警戒を要する期間が続くことになろう。
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