サマリー
◆3月日銀短観は、企業の業況感が悪化した点がやや懸念されるものの、業況判断DIの水準などを総じてみると、引き続き良好な状況を維持していることを再確認させる結果となった。当社は、日本経済は緩やかな成長を続けているとみており、3月日銀短観の結果も概ね当社の見方に沿った内容だと評価できる。また、日本銀行の「緩やかに拡大している」という景気判断をサポートする内容とも言え、今後の金融政策運営の焦点は、こうした堅調な実体経済の下、依然として2%のインフレ目標のゴールが見えない物価動向となろう。
◆大企業製造業の「業況判断DI(最近)」は+24%ptと前回(+26%pt、新サンプルベース、以下同じ)から悪化し、市場コンセンサス(+25%pt)を小幅に下回った。大企業製造業の悪化は8四半期ぶりのことである。大企業非製造業の「業況判断DI(最近)」は+23%ptと前回調査(+25%pt)から悪化し、市場コンセンサス(+24%pt)を小幅に下回った。堅調なインバウンド需要が下支えする一方、住宅投資と公共投資の弱さや、人件費や物流費の上昇などがマイナスに作用した。
◆2017年度の全規模全産業の「設備投資計画(土地投資額を含む、ソフトウェア投資額と研究開発投資額は含まない)」は、前年度比+4.0%となった。例年の設備投資計画の修正パターンに基づくと、次回の6月実績で下方修正される公算があるものの、高水準の企業収益を背景とする更新・改修投資を追い風に、同+3.0%を超える底堅い結果で着地することが視野に入ってきた。
◆全規模の雇用人員判断DI(最近)は、製造業と非製造業のいずれも低下(需給の引き締まり)し、企業の人手不足感が強まった。先行きについては、製造業が小幅に上昇(需給の緩和)する一方で、非製造業が低下(需給の引き締まり)しており、いずれの業種も中小企業を中心に大幅なマイナス圏での推移が続く見込みである。労働需給のタイト化は景気が良いことの裏返しでもあるが、一部業種では人手を確保することが困難な状況に直面しており、こうした労働供給制約の問題が今後の景気回復の重石になる可能性が指摘できる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
熊谷亮丸の経済・金融 Foresight 高市政権の成長戦略、骨太の方針で実質賃金は本当に増加するのか?
①時間あたり労働生産性の引き上げ、②1人あたり労働時間の増加、の2点が1人あたり実質賃金の増加に向けたカギ
2026年06月25日
-
生成AIシミュレーションと金融経済分析
応用研究事例から考えるメリットと注意すべき特性や課題
2026年06月23日
-
2026年5月全国消費者物価
エネルギーのマイナス幅縮小も、食料等の非耐久財の伸び率は縮小
2026年06月19日
最新のレポート・コラム
-
米国:AI活用は続くが、「選別」も本格化へ
「選別」は過剰投資を抑制も、信用リスク・資産価格への波及に注意
2026年06月25日
-
熊谷亮丸の経済・金融 Foresight 高市政権の成長戦略、骨太の方針で実質賃金は本当に増加するのか?
①時間あたり労働生産性の引き上げ、②1人あたり労働時間の増加、の2点が1人あたり実質賃金の増加に向けたカギ
2026年06月25日
-
デジタルアイデンティティ・デジタルクレデンシャルをめぐる取組みと実装技術の論点整理(第2部/全3部)
欧州4カ国と日本のデジタルID基盤・ウォレット構築の比較
2026年06月25日
-
主要国経済Outlook 2026年7月号(No.476)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2026年06月24日
-
米国:AIが変える人材需要—中堅・シニア優位も、その持続性は「?」
2026年06月24日
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
-
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
-
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

