サマリー
◆12月日銀短観では、製造業と非製造業で業況感がまちまちの結果となったものの、業況判断DIの水準などを総合的に勘案すると、日本企業のセンチメントはかなり良好な状況が続いていると評価できる。特に、円安や輸出の改善を背景に製造業の業況感が一段と改善した点が注目される。当社は、日本経済は緩やかな成長を続けているとみており、12月日銀短観の結果も総じて当社の見方に沿った内容だと評価できる。
◆大企業製造業の「業況判断DI(最近)」は+25%ptと前回(+22%pt)から改善し、市場コンセンサス(+24%pt)を上回った。海外経済の回復が続く下で輸出と生産の増加傾向が続いていることや、為替レートが円安方向に振れたことがプラスに作用して、5四半期連続の改善となった。大企業非製造業の「業況判断DI(最近)」は+23%ptと前回(+23%pt)から横ばいとなり、市場コンセンサス(+24%pt)を小幅に下回った。
◆全規模全産業の2017年度の「設備投資計画(土地投資額を含む、ソフトウェア投資額と研究開発投資額は含まない)」は、前年度比+6.3%となり、市場コンセンサス(同+5.5%)を上回った。大企業を業種別に見ると、製造業の2017年度設備投資計画が同+10.2%、非製造業が同+5.8%となった。大企業全産業で見ると、概ね過去の修正パターン並みだと評価できる。
◆全規模の雇用人員判断DI(最近)は、製造業と非製造業のいずれも低下(需給の引き締まり)し、企業の人手不足感が強まった。先行きについても、中小企業を中心に両業種が低下(需給の引き締まり)しており、労働需給は一層タイト化する見通しである。労働需給のタイト化は景気が良いことの裏返しでもあるが、一部業種では人手を確保することが困難な状況に直面しており、こうした労働供給制約の問題が今後の景気回復の重石になる可能性が指摘できる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年3月雇用統計
失業率は上昇するも、求人倍率が上昇するなど雇用環境は悪くない
2025年05月02日
-
消費データブック(2025/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年05月02日
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日