サマリー
仮に自然利子率がマイナス圏にあるとすれば、中央銀行が名目金利をマイナスに引き下げる金融緩和策は妥当性を持つ。日銀のマイナス金利政策に対して市場の混乱を招いたとする批判はあるが、日本が長期停滞の罠から脱却するにはやはり大胆な政策が必要である。日本に先行してマイナス金利政策を実施したユーロ圏など欧州各国についても背景は同じだ。一方、米国の景気回復は利上げに耐えうるほど強いという見方は後退しており、企業部門の弱さが目立ち、期待インフレ率は低下しつつある。米国が金利を正常化し、次の景気後退に備えた十分な政策発動の余地を確保することが本来は望ましい。しかし、現実は逆の方向に傾き、米国も長期停滞の罠に陥りつつあるように見える。ガス欠気味の世界経済を立て直すには金融緩和のみでは力不足であり、主要国が協調した財政政策の発動が必要だが、実際には世界的不況が生じない限りその可能性は低いだろう。したがって、マイナス金利が米国に広がる可能性も含め、金融政策に依存する状況が続かざるを得ないことになるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国:不動産過剰在庫削減が「政治任務」化
景気減速に歯止めを掛ける必要性がこれまで以上に高まる
2016年02月22日
-
欧州経済見通し 濃霧注意報発令
英国の国民投票は6月23日の実施が決まる
2016年02月23日
-
米国経済見通し 海外経済への懸念は限定的
堅調な内需を背景に年後半のインフレが懸念材料か
2016年02月23日
-
日本経済見通し:日銀によるマイナス金利導入の影響をどう捉えるか?
海外発で日本経済の下振れリスクが強まる
2016年02月24日
同じカテゴリの最新レポート
-
2026年8月全国消費者物価
電気・ガス料金支援でエネルギー価格下落、コアCPI上昇率は低下
2026年09月18日
-
日銀、9月会合で1.25%に利上げ 今後も利上げ路線を堅持
家計の利払い負担増は賃金上昇が吸収も利上げ長期化リスクに留意
2026年09月18日
-
2026年8月貿易統計
中東情勢による資源高が続き、4カ月連続の貿易赤字
2026年09月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

