ギリシャ・中国問題が落ち着き、米国の利上げが近づく

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2015年07月22日

  • 小林 卓典

サマリー

ギリシャ危機と中国の株価急落は、世界経済の成長に大きなダメージを与えることはなかった。むしろ中国では鉱工業生産や住宅不動産価格など、景気回復を示唆する統計が徐々に増えつつある。中国リスクが消えたわけではないが、構造調整を一時的にせよ棚上げし、積極的な財政・金融政策に転換した効果が表れ始めたようだ。


IMFの統計によれば、2012年から2014年まで3年連続で世界の財・サービス輸出の伸びは前年比4%を下回った。こうした世界貿易の低空飛行は、1980年代初めの第2次オイルショック後の世界同時不況以来のことである。2015年から16年にかけて世界貿易の伸びは高まる見通しだが、その前提として、中国経済が減速しつつも大崩れしないこと、並びに米国の利上げが世界経済の回復に水を差さないことが必要となる。IMFは米国の利上げが2016年まで延期されるべきと主張しているが、FRB(連邦準備制度理事会)はあくまで年内の利上げを選択する方に傾いている。その利上げ時期について、9月か12月かという議論はあるにせよ、重要な政策イベントが接近している。

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