サマリー
◆イエレンFRB(連邦準備制度理事会)議長は、定例の議会証言で、年後半にかけて景気回復の勢いが増し、インフレ率は中期的に上昇すると見通した。年内に利上げの可能性が高いことが示された。海外経済への懸念は後退し、注目点は米国の国内経済に戻った。
◆現在の米国経済情勢は、年初の寒波などでの落ち込みから緩やかな回復が続いている。住宅需要は順調に増加し、製造業の活動は徐々に下げ止まりの兆しがあるが、雇用統計では賃金の伸びが減速するなど弱さも見られ、個人消費の増加基調は緩やかなままである。
◆9月利上げ開始は十分に想定されるが、10月から始まる新年度予算の作成など、財政に関する議論がハードルとなる。連邦議会のスケジュールはタイトであり、これまでの経緯から議会が円滑に予算を成立させられるかどうかは不透明感がある。
◆2015年1-3月期の実質GDP成長率はマイナス成長となったが、4-6月期はプラス成長に転じる可能性が高い。先行きについても、雇用・所得環境の着実な改善が続き、家計関連需要を牽引役に、緩やかな景気拡大が続くという見方に変更はない。成長率見通しは2015年が前年比+2.4%、2016年が同+2.8%と、従来予想よりわずかに上方修正した。
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