金融緩和の強化を促す逆オイルショック

RSS

2015年01月26日

  • 小林 卓典

サマリー

逆オイルショックを生んだ原油の供給過剰は、米国のシェールオイル増産、リビア、イラクの生産回復、OPECの減産回避など供給側の要因が大きいが、需要側にもユーロ圏の停滞、中国経済の減速などといった要因がある。原油価格の下落がシェールオイルの投資計画を減少させ、最終的に産出量の調整に至る可能性が高いと思われるが、同時に採掘コストも低下しており先行きは不透明である。他方、デフレの危機に直面するユーロ圏では鉱物性燃料の輸入額が2012年の前半をピークに減少し続けている。中国の原油需要は伸びているが、経済成長の鈍化とともにその勢いはペースダウンしている。比較的最近まで中国の旺盛なエネルギー需要が原油価格を趨勢的に押し上げる要因の一つとみなされていたが、情勢は変わった。2014年の中国の経済成長率は24年ぶりの低い水準であった。原油価格の下落は実質的な減税と同じであり、世界経済に与えるメリットは大きい。だた、それが各国で景気回復を促すカンフル剤として顕在化するまで原油相場を巡る混沌とした状況は続く。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート