サマリー
米国の内需はリーマン・ショック直前のピーク水準を約6%上回っているが、消費税増税の影響が色濃く表れた日本の内需は約1%上回るに過ぎない。それでもショック直前の水準を約5%下回るユーロ圏よりもまだ良いとも言える。世界経済はまだら模様の状態にあり、各国ごとの景況感の差は大きい。量的緩和をいち早く大胆に展開し景気を回復軌道に乗せた米国、結果論だが量的緩和による景気回復の途上で消費税増税のタイミングが早すぎた感のある日本、緊縮財政を維持しながら量的緩和の実施を躊躇し停滞から脱することができずにいるユーロ圏という構図である。IMFは10月の世界経済見通しで金融緩和によって経済成長を支える必要性を主張したが、国際金融安定性報告書では金融緩和の長期化が過剰なリスクテイクを招き、市場を不安定化させるリスクを指摘した。一見すると整合性を欠く2つの主張だが、その背景には財政再建を重視するほど金融緩和に依存せざるを得ない各国に共通する事情がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国:2年4ヵ月ぶりの利下げで景気を下支え
預金金利上限は基準金利の1.1倍⇒1.2倍へ。金利自由化のステップ
2014年11月25日
-
欧州経済見通し 3大国の景気に懸念
12月はイベントが多いが、ポジティブサプライズは期待薄
2014年11月21日
-
米国経済見通し 中間選挙とその後
政治情勢が米国経済の回復を阻害するか否かは金融政策にも影響する
2014年11月21日
-
日本経済見通し:「アベノミクスの光と影」を検証する
消費税増税先送り後の日本経済の行方
2014年11月25日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年7月機械受注
金融業・保険業、不動産業などの受注減で軟調な結果
2025年09月18日
-
2025年8月貿易統計
トランプ関税や半導体需要減の影響継続で輸出金額は4カ月連続減少
2025年09月17日
-
トランプ関税でインバウンドに黄色信号
中国人旅行客の伸びしろは大きいものの、他国の状況は厳しい
2025年09月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日