サマリー
インフレ圧力を測る際の代表的な指標の一つである需給ギャップは、実際のGDPと供給力を表す潜在GDPとの乖離を表したものである。しかし、潜在GDPは推計方法によって変わり得るため、真の需給ギャップの測定は難しい。内閣府は1-3月期の日本の需給ギャップをマイナス0.2%と推計しているが、日銀はすでにプラスになったと推計している。今年10月にQE3による資産買い入れを終了するとされるFRBの次の政策の焦点は、いつ利上げに転じるかだが、労働市場にどの程度の余剰が残されているかを巡る議論が活発になっている。ここでもポイントになるのが潜在GDPをどう見るかである。米国の潜在GDPが金融危機前のトレンドを維持しているという見方に対して、金融危機によりトレンドが下方に押し下げられたという見方がある。後者であれば需給ギャップは小さく、米国の労働市場に残された余剰は少ないことになる。金融政策の変更のタイミングに影響を与えるだけに、需給ギャップから推計されるインフレ圧力は、日米ともに重要な論点の一つである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
中国:7.5%成長、最大の功労者は?
全面的な「金融によるテコ入れ」
2014年07月18日
-
欧州経済見通し ドイツの減速は一時的
低インフレが長期化するユーロ圏
2014年07月18日
-
米国経済見通し 台頭する不透明感
明らかになったQE3終了時期と中間選挙
2014年07月18日
-
日本経済見通し:順調な回復軌道へ
中国の「シャドーバンキング」問題などには、引き続き要注意
2014年07月18日
同じカテゴリの最新レポート
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
2025年1-3月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率▲0.2%に改善するも民間在庫が主因
2025年06月09日
-
2025年4月消費統計
総じて見れば前月から概ね横ばい、先行きも横ばい圏で推移しよう
2025年06月06日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日