サマリー
インフレ圧力を測る際の代表的な指標の一つである需給ギャップは、実際のGDPと供給力を表す潜在GDPとの乖離を表したものである。しかし、潜在GDPは推計方法によって変わり得るため、真の需給ギャップの測定は難しい。内閣府は1-3月期の日本の需給ギャップをマイナス0.2%と推計しているが、日銀はすでにプラスになったと推計している。今年10月にQE3による資産買い入れを終了するとされるFRBの次の政策の焦点は、いつ利上げに転じるかだが、労働市場にどの程度の余剰が残されているかを巡る議論が活発になっている。ここでもポイントになるのが潜在GDPをどう見るかである。米国の潜在GDPが金融危機前のトレンドを維持しているという見方に対して、金融危機によりトレンドが下方に押し下げられたという見方がある。後者であれば需給ギャップは小さく、米国の労働市場に残された余剰は少ないことになる。金融政策の変更のタイミングに影響を与えるだけに、需給ギャップから推計されるインフレ圧力は、日米ともに重要な論点の一つである。
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