アベノミクスの2年目の評価と課題
日本経済中期予測(2014年2月)第2章
2014年02月19日
サマリー
◆消費者物価上昇率が2%に届かない中、日銀による金融緩和は基本的に継続されると見込んでいる。金利の抑制効果を通じて国内景気を押し上げるとみられるが、その効果は限定的であろう。金融政策だけでインフレ目標を実現することは難しく、合わせて成長戦略の実行が必要である。
◆安倍政権の成長戦略の評価はB(良)の下くらいである。成長率を高めるために必要なのは「公正な競争」と「多様な人材の活用」であり、国家戦略特区やTPP・対日直接投資は国内市場の競争圧力を高めることになろう。また、イノベーションを引き出すには市場を活かした制度改革が不可欠である。
◆医療提供体制の見直しが実行段階に入る。需要抑制の取り組みの他に、負担の見直しでは、「年齢別」から「負担能力別」へ切り替える方向性となっている。高齢者層の中でも応能負担を強めることは避けられない。ただ、そのためには、各人の負担能力を正確に把握するためにも情報インフラ整備が必要である。給付抑制を着実に進めるとともに、財政健全化と整合的な社会保障制度改革の姿を示すべき。
◆目次
(1)金融政策の効果と限界 | p.2 (小林) |
(2)安倍政権の成長戦略はどこへ向かうべきか | p.6 (溝端・石橋) |
(3)今春から本格化する社会保障制度改革 | p.23(神田) |
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2014年02月18日
日本経済中期予測(2014年2月)解説資料
牽引役不在の世界経済で試される日本の改革への本気度
-
2014年02月05日
日本経済中期予測(2014年2月)
牽引役不在の世界経済で試される日本の改革への本気度
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2021年03月02日
2021年1月雇用統計
緊急事態宣言下でも雇用環境は総じて改善
-
2021年03月02日
2020年10-12月期法人企業統計と2次QE予測
企業収益は大幅に改善も設備投資は弱い/2次QEは下方修正を予想
-
2021年02月26日
有価証券の評価②
「満期保有目的の債券」の分類基準と評価方法について解説
-
2021年02月26日
2021年1月鉱工業生産
生産指数は春節要因や設備投資の回復を受け3ヶ月ぶりの上昇
-
2021年03月02日
コロナ禍をきっかけに非製造業の労働生産性は高まるか
よく読まれているリサーチレポート
-
2020年12月17日
2021年の日本経済見通し
+2%超の成長を見込むも感染状況次第で上下に大きく振れる可能性
-
2020年12月30日
東証市場再編の概要とTOPIXの見直し
影響が大きそうな流通株式の定義の変更
-
2020年04月13日
緊急経済対策の30万円の給付対象者概要と残された論点
ひとり親世帯や年金を受給しながら働く世帯などに検討の余地あり
-
2020年12月28日
改正会社法施行規則 取締役の報酬等の決定方針
-
2020年08月14日
来春に改訂されるCGコードの論点
東証再編時における市場選択の観点からも要注目