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円安・海外回復で輸出が伸びない5つの理由

過度の悲観は禁物。しかし短期と長期は慎重に。

2014年02月06日

経済調査部 エコノミスト 小林 俊介

サマリー

◆円安と海外経済の拡大が同時並行する中にありながら、輸出数量の伸びは振るわない。本稿ではその背景を探り、輸出数量増加のための条件を検証するとともに、日本経済への影響を整理する。


◆円安と海外経済の回復が並行する中で輸出数量が伸びない理由としては、①輸出先の設備稼働率の水準が低いこと、②日本企業のPricing to Market行動、③日本企業のマークアップの優先、④為替レートの見通しに対する不透明感、⑤海外生産移転に伴う輸出減少、の5つが考えられる。短期的には、いずれの要因も輸出数量の伸びを抑制し、国内生産・設備投資・雇用の抑制を通じて日本経済全体の重石となる。


◆しかし中期的に見れば過度の悲観は禁物である。①と④は輸出数量増加のタイミングを後ずれさせる要因であり、円安と海外経済の拡大が続く限り、その効果はいずれ発現する。発現の条件は輸出先の設備稼働率の上昇と円安期待の醸成である。


◆②と③は輸出数量の為替感応度低下要因であり、円高局面における耐久力の上昇として評価しうる。また、③は輸出数量が伸び悩む中でもマークアップの改善を通じて企業収益を改善させる要因である。企業収益の改善が賃金の増加や株価上昇による資産効果につながれば、国内消費の増加要因となる。従って円安が日本経済を改善する効果は、従来と異なった経路で発現する。


◆注意が必要なのは⑤である。これはトレンドとしての構造変化であり、足下の冴えない輸出動向を説明する力は低い。しかし今後の日本経済に与える悪影響は他の仮説に基づくシナリオと比べて深刻である。長期的な国内産業空洞化に対する対策が不可欠となろう。

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