1. トップ
  2. レポート・コラム
  3. 経済分析
  4. 日本
  5. 停滞する日本の対内直接投資

停滞する日本の対内直接投資

雇用・賃金と投資資金の維持のためには対内直接投資の増加が必要

2013年03月25日

金融調査部 研究員 矢作 大祐

金融調査部 主任研究員 太田 珠美

サマリー

◆2012年の世界ベースのクロスボーダーの直接投資は2011年よりも減少した。目立って減少したのは欧米向けの直接投資であり、新興国向けの直接投資に大きな減少は見られなかった。日本の対内直接投資は、2012年12月の大幅な流入超過により、年トータルでも流入超となった。日本の対内直接投資残高を見ると、長期的に増加傾向にあるものの他の先進国に比べて低水準であることが分かる。


◆日本は経常収支が黒字であることから、資本収支の一項目である純直接投資は流出超になりやすいといえる。一方で、同じ経常収支黒字国であるドイツのように純直接投資は流出超でありながらも、対内直接投資の水準が日本より高い国もある。日本は他の先進国に比べて安価な労働力と技術力という点に魅力があるものの、「市場としての魅力(GDP成長率等)」が低い。また、先進国の中では「インフラの充実度(定期船サービス等)」が低水準であることから、対内直接投資が低水準で推移していると考えられる。


◆対内直接投資は、雇用・賃金の維持と投資資金の供給という観点から日本にとって重要である。現時点において、日本の雇用・賃金に対する対内直接投資の貢献度は低い。雇用や賃金、さらには研究開発費に対する対内直接投資の貢献度が高いドイツのように、日本も対内直接投資の恩恵を受ける余地があると言えよう。


◆日本の企業は貯蓄投資バランスで見た場合、貯蓄超過状態となっており、投資を行う資金を有しているといえる。しかし、日本企業のM&Aや事業拡大のための設備投資資金は、ともに海外へと向かっており、国内向けの投資水準を維持するためにも海外からの直接投資の増加が期待される。


◆ドイツは対内直接投資を呼び込むために、豊富な人材や充実したインフラ、研究開発環境という自国の強みを海外へアピールしてきた。日本もドイツの経験を参考に、海外企業から評価されている生産・開発拠点としての日本の魅力を最大限にアピールする必要があるのではなかろうか。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

執筆者のおすすめレポート